ファンダメンタルズ分析とは、経済指標などから世の中の動きを分析し、為替レートの上下変動を予測するための分析方法です。
前回の第4回目では、相場の動きを予想するために、相場の一日の流れの中で、どのような経済指標の発表や要人発言などがあるかを示し、経済指標をどのように分析に用いるかを解説しました。
そこで今回は、ファンダメンタルズ分析に必要な知識として、要人発言をどのように捉え、相場の予想に役立てられるかについて学んでいきましょう。
どんな発言が注目されるのか
為替相場は、要人の「ちょっとした一言でも」変動することがあります。 いろいろな要人がいますが、身近なところでは日銀総裁、世界的にはFRB議長などで、
以下のような発言が注目されます。
- 利上げするのではないかと解釈ができるような発言
- 今後の自国の景気が拡大していくと解釈できるような発言
- 上記の逆で、利下げや景気縮小と受け取れる発言
あたりが特に注目される発言です。
要人発言のタイミングは
① 例えば、ヤフーファインナスなどの経済指標スケジュールにおもな要人発言の予定日が掲載されているので常にチェックするようにしましょう。
② また、経済指標は定例発表として予定が組まれていますが、要人発言は予定されていないものもあります。
例えば、有力な経済紙などのインタビューに対する発言などがこれにあてはまります。
要人発言時の特徴
以下のような特徴があります。
① 要人発言時には、直近最近のすでに発表されている経済指標の結果が織り込み済みとなる場合が多く、織り込み済みの度合い次第ですが、利上げなどを支持・後押したり景気の見通しについてのコメントに相場は反応します。
② また、要人発言の直前に経済指標の結果が発表されている場合、要人発言が利上げや景気に対する見方などに言及した場合に相場は敏感に反応します。例えば、米国の経済指標が発表された後の米国の要人発言です。
要人発言の具体例
実際にあったことですが、米国のISM非製造業景況指数(総合)が先行して発表され、同指標の結果は良いものでした。
続いて、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するロックハート米アトランタ連銀総裁が米ウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューに対して、『米経済が大幅に悪化しない限り利上げを支持する』と見解を示した結果、米長期金利が上昇し米ドル円相場は一気に70銭のドル高となったことがあります。
このパターンは、上記の【要人発言のタイミングは】の②と【要人発言の特徴】の②に当てはまるもので、有力な経済紙などを通じた発言と同日の経済指標の結果に対して相場が敏感に反応したケースです。
したがって、定例会見など予定されている要人発言に対するチェックは当然ですが、有力経済紙などのニュース記事として流れることもあるので、これといいったニュースサイトは常にチェックできる状態にしておきましょう、ウォール・ストリート・ジャーナル、ブルームバーグ、ロイターなどはおすすめです。
世界のおもな要人とは
おもに注目されるのは、中央銀行総裁や金融政策委員会メンバーなどですが、有力経済紙などへのインタビューや格付け会社も相場に影響を与えます。
格付け会社?思われるかもしれませんが、格付け会社は各国の国債を評価格付けしており、評価が下がる(上がる)=国の価値・信用が下る(上がる)と受け止められるので為替相場に影響をあたることもあるのでチェックしておくのが良いのです。
【日本】 日銀総裁、副総裁、財務大臣、財務長官、財務官
【米国】 FRB(米連邦準備制度理事会)議長・理事、FOMC(連邦公開市場委員会)メンバー=地区連銀総裁、大統領
【欧州】 ECB(欧州中央銀行)総裁、理事、BOE(英中央銀行)総裁
【英国】 BOE(イングランド銀行)総裁、MPC(金融政策委員会)メンバー(BOE副総裁)
【豪州】 RBA(オーストラリア準備銀行)総裁、副総裁、財務相、首相
【有力経済紙などのインタビュー】 ウォール・ストリート・ジャーナル、ブルームバーグ、ロイターなど
【格付け会社】 S&P(スタンダード&プアーズ)、ムーディーズ、フィッチ・レーティングス
【有名投資家】 ウォーレン・バフェット、ジム・ロジャース、ジョージ・ソロスなど
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