海外FXではMT4がトレードツールとして最も利用されており、MQL5ではMT4向けの自動売買(EA)がたくさんリリースされています。
MQL5はMT4の開発元であるMetaQuotes社によって運営されているので信頼性が高く、MT4向けの自動売買(EA)を探すのであればMQL5はオススメです。
この記事では、MQL5で紹介されている優秀な自動売買(EA)を選ぶために、バックテストやフォワードテストの検証について解説します。
無料最強の自動売買(EA)も見つかるMQL5
MQL5でリリースされている自動売買(EA)の数は非常に豊富です。全世界から自動売買(EA)が出品されており、優秀なものからそうでないものまで様々ですが、評価・検証がしっかりとできれば、無料で最強の自動売買を見つけることも可能です。
自動売買(EA)の中から優秀なものを選ぶための評価・検証について説明します。
自動売買(EA)選びの検証項目
優秀な自動売買(EA)を選ぶには、必ずバックテストとフォワードテストをチェックしなければなりません、このことは全ての自動売買を選ぶ上で必須です。
なお、フォワードテストの実績データを公表していないEAは選考対象から除外するようにしてください。フォワードテストは、通常、バックテストにおいて検証されたストラテジー(ロジックとパラメータ)が将来の相場でしっかりと機能するのかを確認する作業なので、その結果を公表していないものは信頼しようがないからです。
以下の評価データは必ずチェックしましょう。
- バックテスト期間/取引回数
- 損益グラフ
- PF(プロフィット・ファクター)
- 平均利益と平均損失の比率
- 最大ドローダウン
以下でそれぞれの評価ポイントを説明します。
バックテスト期間と取引回数について
EAのバックテストの期間はできるだけ長く、取引回数も多い方がデータとしての信頼性は高くなります。その理由は期間が長いほどさまざまな相場状況を経て検証が行われていることになるからです。バックテスト期間が極端に短い場合は自分で期間を広げてバックテストした方が良いこともあります。
また、取引回数も多い方が信頼性は高くなります。例えば、PF(プロフィット・ファクター)は「総利益 ÷ 総損失」の結果なのですが、性能が悪いEAは取引回数が多くなるほどPFが必ず悪化するからです。なお、スキャルピング系のEAではもともと取引回数が多くなりやすい分バックテストの期間がより長い方が信頼性が高くなる傾向があります。
バックテストの結果がいいものがあれば、その自動売買(EA)のフォワードテストの結果もチェックします。
損益グラフの線形について
損益グラフはバックテストとフォワードテストの両方で確認することができます。グラフ線を見ることで利益と資産残高の成長を確認することができますが、グラフ線が右肩上がりかつ直線に近いほど安定した成長を示していることになります。
PF(プロフィット・ファクター)とは
PF = 総利益 ÷ 総損失
なので将来どのくらい利益を出せそうか「期待値」のようなものです。勝ち越していれば1.0以上、負け越していれば1.0以下となり、世に出回っている性能が高い自動売買EAのPFは2~3くらいであり、選考に際しては1.5以上は欲しいところでしょう。
プロフィット・ファクターの数字は一般的にテスト期間が長くなり取引回数が多くなるほど落ち込んでいく傾向があります。たまにバックテストのPFが10とか20…と公表されていることがありますが、PFが極端に大きい場合は鵜呑みにせずに、フォワードテストのPFも必ずチェックしましょう、フォワードテストが公表されていないEAは選考対象外にすべきと言えます。
平均利益と平均損失について
平均利益と平均損失は総利益または総損失をそれぞれの取引回数で割った数値であり、両者に乖離が少ない方が優れていると言えます。勝率が高い自動売買(EA)の場合、負けた回数が少ないわけですが平均損失が平均利益の何倍もある場合は一度の損失額が大きいことが多く、次で説明する最大ドローダウンも大きくなる傾向があります。
最大ドローダウンとは
ドローダウンとは、口座資産の落ち込み度合を示すもので、発生した損失で一時的に資産がどの位落ち込んだかを示します。たとえば、資産がある時点で100万円あって、ドローダウンが10%ならば一時的に資産が90万円まで落ち込んだことになります。
特に最大ドローダウンはその自動売買EAでの資金管理/資産リスク管理を行う上で重要な役割を果たします。
たとえば、ある自動売買EAの成長率が非常に高く資産が数倍に増えていたとしても、もし過去の最大ドローダウンが40%もあった場合には一気に資産が落ち込んでしまって、期間をかけて資産を取り戻さなければならないので実際の運用に使用できない可能性があるでしょう。
最大ドローダウンが50%以上あった自動売買EAの場合、もし立て続けに50%以上のドローダウンが発生したらそのトレーダーの資産はマイナスとなる可能性があるので、成長率が高い商品であっても最大ドローダウンは10%以内のものを選ぶべきでしょう。
優秀な自動売買(EA)を見つける手順
MQL5内で儲かる自動売買(EA)を探す方法を画像付きで説明します。
MQL5のMarket(自動売買の販売ページ)に入ると数多くの自動売買(EA)が表示されています、こちらから入ると表示されています。
赤枠内の「MetaTrader4 Experts」をクリックすると「Trading Robots for MetaTrader 4」に自動売買(EA)が並んでいます。
有料版を探す場合に予算上限とかがある場合は、価格帯(Price)に金額を入力して「Find」をクリックしてください。
バックテストの結果をチェックする
ここでは例として「Turbo pivot levels」というEAを用いて説明いたします、すぐ見つからない場合は、画面右側のsearch in the marketにTurbo pivot levelsと入力しFilterをクリックすると表示されます。
下記は「Turbo pivot levels」のバックテストです、赤枠内がバックテストの評価結果です。
通常、赤枠内の赤文字のようにバックテストされた通貨ペアと期間が表示されています、このケースでは英ポンド/米ドルで2015年1月1日~2018年4月15日までのバックテスト結果であることがわかります。複数の通貨ペアでテストされている場合は通貨ペアごとのデータが公表されています。
損益グラフが右肩上がりでかなり直線ぽいのでなかなか良さそうな自動売買(EA)に見えます。赤枠内には「Total Trades(総取引回数)」が1652回、その内、ショート(売り)766回でロング(買い)886回であったこともわかります。
また、プロフィット・ファクター(Profit Factor)は2.72となっているのでなかなか期待できそうなEAのようですが、ドローダウン(drawdown)が38.31%で高めであることがわかります、続いてフォワードテストの結果を確認してみましょう。
フォワードテストの結果をチェックする
フォワードテストの結果を見るには「author(作者)」をクリックします、ここではUgur Oezcanという作者です、「signal」をクリックするとフォワードテストの結果ページに入ります、15というのはフォワードテストの結果が15種類あることを示します。
複数あれば候補を選ぶ
「取引回数(Trades)」「PF(プロフィット・ファクター)」「ドローダウン(Drawdown)」を見てみると、取引回数が多くPFが1.5以上あるものが見つかりました、ここではとりあえずドローダウンが低い方(7%)の2番目の詳細を確認してみます、353の商品をクリックしてみましょう。
フォワードテスト結果の詳細をチェック
まず損益グラフ、資産残高のグラフが表示されますが、取引850回位から赤線の平均を若干下回っていますが概ね直線に近い形で推移しているのでそんなに悪くはなさそうには見えます。
「Statistics」をクリックすると詳細データが表示されます。取引回数(Trades)が1030回、プロフィットファクター(PF)が1.7となっており、平均利益と平均損失はさほど乖離していないので問題なさそうです。しかし、バックテストでは取引回数1652回でPFが2.7でしたので、バックテストと同じ回数までにはもう少し下がる可能性があることが推測されます、PFは最低でも1.5以上は欲しいのでちょっと微妙感が漂っている感じです。
最後にドローダウンのデータを見るために「Risk」をクリックします。左側は今までで一番良かったトレード(Best trade)、右側が最も悪かったトレードに関するデータなのですが、資産リスクを評価することが目的なので最も悪かったトレードのドローダウン(=最大ドローダウン)をチェックします。
「By Balance」は初期資産からの落ち込み、「By Equity」はトレード中の含み損益を考慮した純資産からの落ち込みを示します。両方とも10%以下となっているのでこの部分は問題はないことがわかります。
まとめ
ここまでチェック項目を確認する方法とデータの見方も解説しましたが、上記のようにバックテストとフォワードテストの結果をチェックしないと儲かる自動売買(EA)を見つけることは難しいでしょうし、自動売買(EA)の詐欺に引っかかる不安を取り除けると思います。
MQL5で紹介されている自動売買の数はとにかく豊富なので、上記の検証項目をチェックして、まず、バックテストでふるいにかけて候補を絞り込んでからフォワードテストの結果が優れているものを選ぶようにすれば、無料でも優れている自動売買が見つかるはずです。
自動売買に近い形で手っ取り早くトレードしたい方には以下のコピートレード・シグナルトレードも検討に値するでしょう。
興味がある方は「MT4でコピートレード・シグナル自動売買で儲けよう!導入から設定まで解説!」をぜひお読みください。
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