ドル高傾向は 年末までか

12月の米利上げ観測が強まるなか、米国が利上げすれば、その後はドルが軟調になるとの見方が出始めた。

輸出の弱含みや物価下落などドル高が米経済を下押しする影響が明確になり、米国の利上げペースは緩やかになるという見立てからだ。

利上げ観測というドルの浮揚力がなくなれば、約3年間続いた円安・ドル高のトレンドも反転する可能性がある。

米シカゴ・マーカンタイル取引所が政策変更の市場予想を反映するため算出する「Fedウオッチ」を見ると、17日時点で12月利上げの見込みが64%だった。堅調な米雇用などを背景に、市場参加者は12月15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ決定を織り込む。

外国為替市場ではドルが強含んでいる。円は対ドルで約3カ月ぶりの1ドル=123円台の安値水準で推移する。

ただ米国が利上げした後も円安・ドル高の流れが続くかといえば、そうとは限らない。三菱東京UFJ銀行の内田稔氏は「12月に米国が利上げに踏み切れば、その後、円安・ドル高トレンドは反転する」とみる。米連邦準備理事会(FRB)が2回目以降の利上げは慎重に進めるとみているためだ。

イエレン議長の側近とされるニューヨーク連銀のダドリー総裁は、FRBは最初の利上げ後の引き締めペースが「かなり緩やか」になるとの見通しを示している。

FRBはFOMCを今年12月の後は来年1月、3月、4月、6月と開く。Fedウオッチでみた市場予想では、5回目となる来年6月までの利上げ回数は「2回」が36%と最も多く、「1回」も35%を占めた。

利上げペースが緩やかと見込む理由は、ドル高の米経済への悪影響だ。10月の米雇用統計は27万人増と大幅に増えたが、けん引したのはサービス業だった。ドル高が重荷となる製造業は9月に減少した後、横ばいだった。米輸入物価指数は燃料を除くベースでみても今年6月以降5カ月連続で前月比マイナスが続く。

米景気の回復ペースが鈍れば「FRBも機械的に利上げを進めにくい」(クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司氏)。次の利上げ時期を見極めにくければ、外為市場でのドル買い圧力も弱まる。2000年前後や04年など過去の利上げ初期局面を見ても、ドルは利上げ直前まで上昇し、実際の利上げ後には弱含んだ。

米利上げ観測からドルの調達コストは急上昇している。利上げ後もコストが高止まりすれば、機関投資家が海外投資を手控え、円売りを弱める可能性はある。利上げ観測に伴うドル買いや日本勢による海外の株式や債券への投資という円売りの力が和らげば、円安・ドル高は進みにくくなる。

米利上げ観測が強まると、市場では新興国企業のドル建て債務の返済負担の重さが懸念された。実際にFRBが利上げすれば「改めて負担の重さが注目され、新興国経済への不安からリスク回避で円を買い戻すため、円高・ドル安に振れる」(内田氏)との見方もくすぶる。

FEDウオッチのリアルタイム数値をご覧になりたい方は下記サイトをご覧ください。

http://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html

この記事は役に立ちましたか? 役に立った 役に立たなかった 0人中0人がこの投稿は役に立ったと言っています。
Pin It このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信」ボタンを押してください。