ファンダメンタルズ分析(3) 経済指標と活用方法

ファンダメンタルズ分析とは、経済指標などから世の中の動きを分析し、為替レートの上下変動を予測するための分析方法です。 今回は、多くの経済指標の中から政策金利以外の重要な経済指標等をピックアップし、それらについて解説しましょう。

雇用統計が重視される

政策金利と並んで注目される雇用統計

外国為替市場で取引されている通貨のなかで、最も資金流通量が多いのは、基軸通貨である米ドルです。 そして、為替相場の動きを最も左右するのは、米国の通貨・金融政策、および景気動向なのです。

米国経済は、GDP全体のうち8割が個人消費で占められているため、その雇用情勢が世界の景気を表す指標の1つとなります。
そのため、米国の「雇用統計」は非常に重視されており、「非農業部門雇用者数変化」の注目度が高いです。

米国の雇用統計は、毎月第1金曜日、夏時間:日本時間21:30 冬時間:22:30 に発表されます。 その他の経済指標の発表スケジュールもほとんどが決まっており、米国の場合は一部の指標を除いて夏時間:日本時間21:30 冬時間:22:30に発表されます。

経済指標の見方と判断

経済指標の結果だけを見ていてはダメ

経済指標の結果が市場の事前予想に対して上回ったのか、それとも割り込んだのかということで、為替レートが動きます。 したがって、経済指標発表の前後では次のポイントをチェックします。

① 発表前の予想数値はいくらだったか

② 発表された絶対数値はいくらか

③ 発表数値と予想数値との差異比較

上記をチェックしてから相場の動きを見越して取引を行うことになります。

実際の数字が、事前予想に対して上回るとドル買い、下回るとドル売りになり、その動きは、上記③の両者の数値の差異(かい離)が大きくなるほど相場変動も大きくなります。

経済指標の発表による相場の動きは、トレンドを形成するほどのインパクトのある場合を除けば、大きく動くのはほんの一瞬か数分程度なので相場に乗り切れない可能性もあります。また、経済指標発表前から相場が動き始めることもあり発表直後の動きが読みにくいこともあります。
そのような場合は、初心者や経験の浅いトレーダーは、指標発表直後はとりあえず様子を見て、動きが落ち着いてから、トレンドを見てポジションを取るようにした方が無難です。
ただし、短時間のトレンドとなる場合も多いので、大きく儲けることにこだわらず『早めに動いて早めに利益確定する』ことに心掛けた方が良いです。

指標の結果を積み上げて評価する

また、経済指標ごとにその時々の経済状況を確認するだけでは十分な判断はできません。
直近・最近の指標の結果も含めた積み上げ方式で総合的な判断を下すべきです。

例えば、毎月発表されている

①ISM製造業景況指数
②非農業部門雇用者変化
③ISM非製造業景況指数

の順で発表があったとします。

2015年の各結果をもとに見ていきましょう、数字は『予想/結果/前回』を示しています。

① 50.6/50.2/51.1
② 20.1/14.2/17.3
③ 57.5/56.9/59

上記3指標の結果を見ますと、すべてが悪化していることがわかります。
①→②→③と悪化が積み上がってきているので、①のときよりも②の結果を受けて米ドル相場が軟調になり、②の時よりも③の結果を受けてもっと軟調となることを予想できます。

このように、経済指標を判断材料にするためには、結果を積み上げながら分析・評価することが求められます。

日本の経済指標はさほど重要でない

かつてバブル経済が栄華を誇ったころ、日本の経済指標は市場参加者の間で注目の的でしたが、現在は、日本の経済指標発表時に為替レートが大きく動くケースは、ほとんどありません。

米国の経済指標以外で注目されるもの

米国の経済指標以外では、ユーロ相場の動向に影響を及ぼす、ドイツのIFO景況感指数などが、市場参加者の注目を集める傾向が見られます。

米国の重要経済指標一覧

GDP

ISM企業活動指数

ベージュ・ブック

シカゴ連銀全米活動指数

小売売上

自動車販売台数

個人所得・消費・貯蓄

新規住宅建設

新規住宅販売

製造業受注・出荷・在庫

鉱工業生産指数

雇用者数・失業率

新規失業保険申請件数

消費者物価指数

生産者物価指数

コア個人消費支出

貿易統計

国際収支

FOMC

予算教書

米ドル以外の通貨でトレードする場合は、各国における上記と類似する経済指標を判断材料とします。

重要な要人発言一覧

経済指標だけでなく要人(相場に影響力のある人物)にも注目して、その発言内容や動向(議会証言、記者会見、コメント)には常に気を付けましょう。

米国大統領

米財務長官

FRB(米国連邦準備制度理事会)議長

ECB(欧州中央銀行)総裁

日銀総裁

中国人民銀行総裁

世界的な投資家

ファンドマネージャー

などです。

また、本人でなくともスポークスマンや新聞記者など第三者に話をさせて、市場の反応を見るという手段も取られます。 そのような場合、その誰かが特定できれば、要人の本音の一端を知ることもできるので判断に有効です。

最後になりますが、ファンダメンタルズ分析では、政治、経済ニュースに注意を払い、各経済指標を積み上げ方式で評価・分析し、をその時々のキーワードや要人発言等を押さえておくと、相場が動く要因や市場参加者の心理をより理解しやすくなります。

まとめ

  • 外国為替市場で取引されている通貨のなかで、最も資金流通量が多いのは、基軸通貨である米ドルである。
  • 為替相場の動きを最も左右するのは、米国の通貨・金融政策、および景気動向。
  • 米国経済は、GDP全体のうち8割が個人消費で占められているため、その雇用情勢が世界の景気を表す指標の1つとなっている。
  • 米国の『雇用統計』は非常に重視されており、『非農業部門雇用者数変化』の注目度が高い。
  • ① 発表前の予想数値はいくらだったか  ② 発表された絶対数値はいくらか  ③ 発表数値と予想数値との差異比較、を通して相場を予想。
  • 上記③の発表数値と予測数値のかい離が大きくなるほど相場変動も大きくなります。
  • 直近・最近の指標の結果も含めた積み上げ方式で総合的な判断を下すべき。

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