投資マネー、米に回帰

投資マネー、米に回帰 2300億ドル、利上げにらむ 欧州追加緩和で加速も

米国の金融緩和で新興国などに向かっていたマネーが急速に米国内に回帰している。

12月中にも米連邦準備理事会(FRB)が9年ぶりに利上げするとの見方が強まったためだ。

欧州中央銀行(ECB)が3日に追加緩和に踏み切れば流れは加速する可能性がある。

ドルへの一極集中は新興国だけでなく、ドル高を通じて米経済への逆風にもなりうる。

日本でも金融機関がドル調達難に直面するなど世界経済にきしみが広がっている。

 

外国為替市場で「パリティ(等価)」との言葉が使われる機会が増えている。

1ユーロ=1.05ドル台にまでドル高・ユーロ安が進み、13年ぶりとなる1ドル=1ユーロが迫ってきたためだ。

ドルへの資金シフトを象徴する数値として市場関係者の関心が高まっている。

ユーロに限らず、ドルの主要25通貨に対する価値は13年ぶりの高水準だ。
20151203米国への資金回帰

20151203ドル高商品安が進んでいる

米欧で逆の政策

米財務省が集計している対外証券投資は資金の流れを裏付ける。

市場が米利上げを織り込み始めた2014年7月から今年9月までに米国に流入した資金は計2300億ドル(28兆円)に上る。

09年からの5年半で計7500億ドル(92兆円)もの資金が海外に流れていたので、このうち3分の1の資金が米国内に戻ってきた計算になる。

市場では今年10月以降は流入が一段と加速しているとの声が多い。

 

起点は米FRBの利上げ観測だ。米景気は回復を続けており、市場は12月の利上げを7~8割程度織り込んでいる。

金融緩和のもとで収益を求めて新興国や商品などに投資対象を広げた投資信託やヘッジファンドが、米金利上昇を見込んで海外投資を引き揚げている。

一方、物価上昇が鈍い欧州ではECBが3日に追加緩和を検討。

米欧の金融政策の方向性が真逆という異例の事態になる可能性が高まっている。

日銀も異次元緩和が長期化しており、「先進国のなかでもドルが選ばれる状況は当面続く」(三井住友銀行の山口曜一郎氏)との声が増えている。

ドル調達費用増

ドルの独歩高は世界経済にきしみももたらしている。

新興国の株価は伸び悩み、国際商品市況の総合的な指数は13年ぶりの安値に落ち込んだ。

新興国の企業ではドルでの借金の負担も膨らんでいる。

米金融緩和の間に新興国のドル債務は急増し、いまや3兆ドルを超える。

ドル高が進むと現地通貨ベースの負担は増す。

緩和マネーの流出も重なって企業の資金調達環境は悪化している。

日本の金融機関はドル調達コストの急上昇に直面している。

例えば邦銀が円とドルを1年間交換するには現在、0.7%程度の上乗せ手数料が必要。

銀行の海外展開の制約となり、事業会社にとっても海外進出の足かせとなりつつある。

ユーロをドルに替える際の手数料も上がり、米国外の銀行や企業もドルを調達しづらくなっている。

米企業にとってもドル高は輸出企業の採算を悪化させる。

1日に発表された米製造業景況感指数は3年ぶりに景気拡大の目安を割り込んだ。

 

FRBは9月に新興国景気やドル高の影響を見極めたいとして利上げを見送った経緯もある。

金利の正常化を急ぎすぎると世界経済を悪化させ、米国にも跳ね返りかねない。

市場や海外経済の反応を横目に難しいかじ取りが迫られる

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