中国経済減速の影響 日本経済は大丈夫か?

中国経済を見る場合、縦の視点と横の視点が必要に

先日発表された中国の2015年第3四半期GDP成長率は前年同期比6.9%増、09年第1四半期以来の低い水準となりました。

中国経済が減速しているのは確かです。しかし、中国経済を見る場合、「縦の視点」と「横の視点」が必要になると考えます。

縦の視点で言うと、2桁成長をしてきた過去の中国経済の高度成長はもう終わったと言えます。

ただし、横の視点、つまり世界の主要国と比較すれば、まだ高い成長率を維持しています。

今、主要国の経済は、米国以外はどこも減速しています。

昨年の世界経済の増加分のうち、米国の貢献によるものは1割に対し、中国によるものは3割と巨大となっています。

中国経済を見る場合、この縦の視点と横の視点で見る必要があるのです。

とはいえ、中国経済の現状は決して明るくありません。

「リーマンショック」時を超える経済減速が起きているのです。

1つは、中国政府当局が実施している金融緩和の頻度から、それは裏付けられます。

「リーマンショック」の時、中国経済が減速し、景気刺激策として金融緩和が行われました。

具体的には、金利の引き下げと、商業銀行が中央銀行に預ける預金準備率の引き下げを行ったのでした。

「リーマンショック」時には、利下げ4回、預金準備率引き下げが3回行われました。

昨年11月以降、利下げはこの10月まで既に5回、預金準備率引き下げ4回が行われています。

おそらく利下げと預金準備率引き下げは、年内に少なくとも1回を行われることでしょう。

「李克強指数」は中国経済の実態と合わない部分も(出てきている)

中国経済の減速の要因の1つは、車と住宅という二大エンジンが止まっているためです。

裾野が広く、ほかの産業分野への波及効果が絶大だが、ここに疲労感が漂い、牽引力が乏しくなっているのです。

中国経済は暗いだけかいうと、そうでもありません。

中国政府はさらなる金融緩和など複数の景気刺激手段を持っていると考えられます。

利と預金準備率は日米欧に比べ高い水準にあり、今後も引き下げる余裕があります。

追加インフラ投資も可能です。

外貨準備高は減少したものの、なお3.55兆ドルあり世界1位を保っているので、金融危機の発生は考えにくいでしょう。

但し、中長期的には生産年齢人口の減少や投資と生産の過剰など構造的問題を考えれば5%、4%成長も視野に入れるべきかもしれません。

中国の李克強首相は2007年遼寧省書記を務めていた時、経済活動の指標として、GDP成長率より電力消費量、鉄道貨物輸送量及び新規貸出を重視していました。

この3つは「李克強指数」と呼ばれています。

しかし、この「李克強指数」は今の中国経済の実態をそぐわなくなっているとの指摘があります。

先ず電力消費量だが、経済の構造変化で、第一次産業、第二次産業の割合が低下し、第三次産業へ比重が移ってきています。

伸長著しいサービス業の電力消費量はあまり多くありません。

貨物輸送量も地域の格差を反映していません。

上海市、北京市、重慶市の都市部は自動車輸送が多いため、鉄道貨物輸送量が少ない。

一方、遼寧省は鉄道網が発達しているため、鉄道貨物輸送量が割に多い。鉄道貨物輸送量はこうした地域格差の問題があります。

従って、いわゆる「李克強指数」はGDP成長率試算の参考にはなるが、基準としてはふさわしくない、と言われています。

中国経済の減速はアベノミクスの成否にも影響

中国経済の減速が日本経済にどう影響するか?

日本の2期連続でGDP成長率がマイナスに転落したのは、「チャイナショック」による日本株価下落率が中国を除く主要国の中で最も高かったことなどから裏付けられます。

日本経済は中国依存度が高いからです。

対中輸出は2014年が前年比6%増の13兆3844億円、これに香港向け輸出4兆円強を加えると、17兆円強で全体の23.6%で第1位。

訪日中国人は、2014年に前年比83.3%増の241万人で、台湾(283万人)、韓国(275万人)に次いで3位ですが、日本での中国人消費金額は5583億円でダントツの1位です。

今年は人数も消費金額も1位となるのは確実で、中国人の「爆買」消費は日本の景気を下支えしています。

さらに対中直接投資のリターン。

経済産業省が発表した【通商白書2015年版】によれば、2012年度国別日系企業の日本側への配当金額は、中国の日系企業が約0.33兆円で1位となっています。

中国巨大市場の日本への影響は益々増大しています。

アベノミクスは円安株高のメリットを除き、経済成長の成果が少ないと言わざるを得ない、アベノミクスの成長戦略も日銀のインフレ目標2%の実現も、中国経済の減速の影響で、大きく目算が狂うかもしれません。

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