『過去の米国利上げ前後の為替相場』を理解する

ファンダメンタルズ分析とは、経済指標などから世の中の動きを分析し、為替レートの上下変動を予測するための重要な分析方法です。 第2回目の『金融政策とはなにか』において政策金利の調整が中央銀行によって行われると為替相場が変動することがよくあると解説いたしました。 この記事を書いている本日は、(2015年)12月15日と16日の米国FOMCの金融政策発表のちょうど1週間前です。 米国利上げ観測がかなり強くなってきている利上げ局面において、為替レートがどのように推移したかを理解することは、相場の先行きを占う上で有効であり、『過去の米国利上げ前後の為替レートの動き』について解説いたします。

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『利上げの前は米ドル高、利上げ後は米ドル安』

下記の図は過去5回の米国の利上げ局面における「利上げ前6ヶ月から利上げ後1年までの米ドル/円相場の推移です。 過去のほとんどのケースでは、 『利上げ前』は、半年前から、遅くても3ヶ月前から米ドル高となっており、 『利上げ後』は、半年から9ヶ月くらいは米ドル安となっています。 米国の利上げが意識され始める利上げ前は、利上げの影響に対する不安感から米ドルに対して他通貨が下り(直近の相場もドル高基調となっており)、実際の利上げ後は、大きな影響がなかった安心感から逆に米ドルに対して他通貨が上昇したものと思われます。 このパターンに当てはまらなかったのは1997年のアジア通貨危機のときでドル高が続きましたが、この例外を除けば利上げ後はドル安に動いています。つまり、利上げ後に大きな波風が立たない場合にはドル安に動く可能性が高いと言えます。 Image ※横軸の「0」が利上げポイントです。

『多くの通貨は利上げ前に下落→現状と一致している』

米国の利上げが意識されている今回、主要通貨の相場推移を確認してみましょう。 下記の図は2014年10月末から直近までの対米ドルの主要通貨の推移であり、多くの通貨が下落しており、現状が過去と一致、レートの数値面から見ればドル高から利上げ後のドル安に動く可能性を大いに感じます。 Image しかし、値動きの検証には過去のパターンだけでなく世界の経済環境等の確認も必要であり、特に米国の利上げによる悪影響を受ける可能性のある経済環境に置かれている国・地域・通貨等も含めた検証が求められます。

『米利上げとなった場合の世界経済への影響』

今回もし米国の利上げが実施された場合、次の3つのリスクによりドル安となる可能性があると考えられます。 ①新興国・資源国は膨大なドル建て債務を抱えているため、米国が利上げを実施すると債務デフォルトのリスク懸念が高まり「投資家のリスク回避姿勢が強まる」。 ②米国利上げにより、新興国市場からの資金流出などを懸念して「投資家がリスク回避姿勢を強まる」可能性がある。 ③米国の利上げと合わせて原油価格などの資源価格がさらに下落すると、資源国通貨の下落が続き、「投資家のリスク回避姿勢が強まる」可能性がある。 いずれも「投資家のリスク回避姿勢が強まる」可能性があるということから、結果として低リスクである円に資金が流入し円高ドル安基調となる可能性が十分考えられます。 米国利上げが実施された場合、過去と同じパターンをたどり円高ドル安となるのでしょうか、いずれにしても来るFOMCの金融政策発表は間近です、固唾を飲んで待ち構えていきましょう。

まとめ

  • 利上げ前は米ドル高、利上げ後は米ドル安
  • 『利上げ前』は、半年前から、遅くても3ヶ月前から米ドル高
  • 『利上げ後』は、半年から9ヶ月くらいは米ドル安
  • 過去において多くの通貨は利上げ前に下落しており、現状も過去と一致している、現在のドル高から利上げ後のドル安に動くパターンが今回も再現されるかもしれない
  • 米利上げが実施されると、上記のような諸事情によって『投資家のリスク回避姿勢』が強まり円高が進む可能性がある
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